144: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/27(木) 12:32:30.89 ID:IcevcAFHO
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部屋の明かりは煌々と付いている。クドラクが襲ってきた時に、すぐに分かるようにということだった。
薄闇の中でも、近い距離なら歪みがそこにあるのは見えた。まして明るい場所なら、それなりの違和感はあるだろう。クドラクが夜にしか現れない理由の一つが分かった気がした。
「ん……ぐ……」
苦しそうに魔王が呻く。私は綿の布で、彼の顔に流れる汗を拭き取った。
こうして見ると、本当に少年にしか見えない。でも、私は……また彼に救われてしまった。
「……ごめんなさい」
唇を噛んで呟く。
私は、彼に何かしてあげられただろうか?守られることに甘えてはいなかっただろうか?
そんな心の緩みが、クドラクに存在を知られる理由になってしまったのでは?
目の辺りが熱くなってくる。……本当に、私は……世間知らずの小娘なんだ。
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