129: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/21(金) 20:46:33.35 ID:GUtbYzIjO
ランパードさんが、エールのおかわりを頼んだ。
「エストラーダは確かにベーレンと対立してるが、奴はあまり汚い手を使わないはずだぜ。
無頼衆を使うのは、序列3位のラミレス家や5位のゴンザレス家のやりそうな手口だ。エストラーダは、ユングヴィのネリド大司教は使うが直接汚ねえことはしねえ」
「……何が言いたい?」
「もし、だ。娘の犯行だとしたら、独断かもしれねえってことだ。エストラーダはそれを知らないか、あるいは困り果てているかもしれねえ」
大きなエールのグラスが運ばれてきた。その半分ぐらいを、ランパードさんは一気に飲む。
「エストラーダ候に、クドラクがファリスさんかもしれないってことを言うんですか??」
「いや、いきなりはな。ただ、医者のふりをして潜り込み、ファリスと接触するぐらいはできる」
「え?」
そんなことができるというの?
ランパードさんはニッと口を広げた。
「ファリス・エストラーダは不治の病らしいが、トリスの医術は試してないはずだ。というわけで、医者を騙る」
「でもっ、それって……」
「いや、実際ある程度医術の心得はあるからな。とりあえず、明日試してみるか。
お前さんたちはどうする?魔王はさすがに家に入れないだろうが」
「……同席、できるんですか」
「助手ということで、姉ちゃんはどうよ。魔王、お前さんもそれでいいだろう?」
「ふん」、と魔王が鼻を鳴らした。
「……勝手にしろ」
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