魔王と魔法使いと失われた記憶
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126: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/21(金) 20:40:42.22 ID:GUtbYzIjO
「と、とにかくだっ。さっさと買って宿に戻るぞ」

魔王は幾つかのドレスをパパッと選んで店主に渡す。

「120万ギラ貰おうか」

……120万ギラ??そんなに高いの??

店主の顔を見るとニヤニヤと笑っている。絶対にボッタクリだ。

バザールの品は値札がない。どれも店主との交渉で決まる。最初の言い値は大体がかなり高い。
しかし、これはいくら何でも高過ぎだ。魔族だから、相当吹っ掛けてるんだ。

しかし魔王は……

「そんなのでいいのか?」

平然と金を出そうとしている。

「ちょ、ちょっと!!」

「何だ小娘」

「何でいきなりそんな大金払おうとしてるの?馬鹿なの??」

「馬鹿とは何だ、身の程を……」

「それはこっちの台詞よ!?バザールで最初の言い値通りに払う客なんていないわよ、そもそも相当高いわよこれ?」

「そういうものじゃないのか?」

ムッとした様子で魔王が言う。ダメだ、全然分かってない。

「違うわよ……というかあなたの金銭感覚ってどうなってるのよ。オルランドゥのカトリさんのお店でも、100万ギラとかあり得ない額払ってたでしょ!?」

「あれは口止め料込みだ」

「にしても高過ぎ。そもそもどこからお金出してるのよ……」

「母上が持っていた宝石があるからな。ジャックに預けてるが、食うには困らん」

……それで20年も生きてこれたって、どれだけの価値がある宝石だったんだろう。
とにかく、彼は私に物を考えろと言うけど、彼は彼で全然世間のことを知らないのはよく分かった。

コホンと咳払いの音がした。

「で、買うのか?買わないのか?」

「あ、買います!でも120万はちょっと」

「いや、それ以上はまからんな」

店主はニヤリと笑う。こっちの財布に120万以上あることが見透かされたのだ。これはまずい。

「でも、高過ぎます!」

「南ガリアの最高級の絹だ、これでも安いぐらいだが?」

……これはいけない。買うか、別の店にするかしかない。
辺りを見渡すと、バザールでドレスを売っている店はあまりなさそうだった。服を売っている店はあっても、あの露出の多い「ビキ」ばかりだ。あれは着れない。

どうしよう……。魔王は「払えばいいじゃないか」と相変わらず言ってるし。

仕方ない、ここはもう妥協するしか……


「ちょい待ちな。これ、本当に南ガリア産か?」


後ろから声がする。どこかで聞いたような……


振り返ると、そこには背の高いエルフがいた。




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