魔王と魔法使いと失われた記憶
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106: ◆Try7rHwMFw[saga]
2020/08/16(日) 17:13:37.03 ID:cAlXBzjlO
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魔王はジャックさんの家の前で待っていた。そして歩き出すなり小さく呟く。

「……すまなかったな」

「え」

「お前がトンプソンに育てられようと、奴はお前じゃない。俺が勝手に頭に血が上っていただけだ、許せ」

「あ……うん。いいの、気にしてないから」

「……そうか」

魔王はほっとしたのか、少し微笑んだ。……こうしてみると、結構かわいい所もあるんだな。
馬にまたがると、魔王がこちらを振り向いた。少し、顔が赤い。

「すまないが……その、胸が当たる。気持ち、離れてくれないか」

「あ……ごめん」

私も慌てて身体を離した。

彼は、何だかんだで私を女の子として見ているのかな。そう思うと、今までの行動が急に恥ずかしく思えてきた。
ただ、私も恋らしい恋をしたことがない。どうやって彼と向き合うべきなのだろう。


そして、目的地のサンタヴィラは……まだ遥か遠い。





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