佐々木「今度、洗いっこしようか?」キョン「は?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/26(日) 20:49:49.78 ID:I1wck53cO
「やぁ、キョン」

午前の授業を終えて、お袋謹製の弁当を食いながら窓の外を眺めていた俺の元に、既に自前の昼食を食べ終えたと思しき佐々木が寄って来て尋ねた。

「何を眺めているんだい?」

教室の窓から見える風景はいつもと変わらず、別段空に未確認飛行物体が浮いているわけでもましてや超人が飛翔しているわけでもなく、ただひたすらに雨が降り注いでいる。

「ああ、雨を見ていたのか。不思議だよね」

はて、雨が不思議とはどういう意味だろう。
この地球上において降雨など珍しいことではなくありきたりな自然現象に過ぎないのに。

「地上、または海上で蒸発して気化した水分が上空で冷やされて雲となり、再び液化して雨となって降り注ぐ。そんな風に科学的に説明すれば簡単に感じられるかも知れないけれど、それらのサイクルは極めて絶妙なバランスの上に成り立っている。だから僕は、自分が生まれた惑星がたまたまそのような仕組みを備えていることを不思議に思うのさ」

長々と解説ご苦労さん。流石は薀蓄博士だ。
一介の中坊に過ぎない俺はその仕組みとやらについて専門的な知識など持ち合わせてはいないが、この惑星に生きるひとつの生命体として本能的にこれだけはわかる。必然だ。

「俺たちが生きてるんだから当たり前だろ」

俺たちが今この惑星で生存していること。
それこそが不思議を解明するに足る根拠。
雨が降るからこそ、俺たちは生きている。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/26(日) 20:52:01.40 ID:I1wck53cO
「人間原理だっけ? その考え方は嫌いだな」

嫌いと口にしつつも、佐々木は瞳の中の星々をキラキラと輝かせながら、くつくつ笑う。
こいつの喉の奥からどうやったらそんな音が漏れ出るのか、そっちのほうが俺にとってはよっぽど奇妙で不可思議だった。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/26(日) 20:54:30.35 ID:I1wck53cO
「さて、話を戻すが、要するに人外の視点で物事を考えることが出来れば、人間原理は覆せるかも知れないということだね」
「草か犬にでもなるつもりか?」
「たしかに僕は、観葉植物みたいに静かで犬のように本能に従順な生き方には憧れるが、性格的にそれを真似ることは不可能だろう」

たしかに目鼻立ちの整っている佐々木は黙っていれば観葉植物のように見るものに対して癒しや潤いを与える存在になれるやも知れんが、口を開けば薀蓄が飛び出し、また根本的にどうしようもなく皮肉屋なので犬のような従順さは持ち合わせていない。
以下略 AAS



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