73:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 22:12:03.48 ID:qe4+sBJv0
マリーは徐に立ち上がる。
さらに立派になった翼はどこか冷たさを内包している気がした。
そのまま頭上の赤い星に向かって、凄まじい勢いで羽ばたき始める。
「ダイヤ。あなたは私を許してくれるかしら。」
星との距離は縮まる気配がなく、翼に感じる冷気は凄まじくなってくる。
「ヨハネ。あなたにも謝らないと、ね。」
空気が薄くなり、朦朧とする意識のなか、懸命に翼を動かす。
マリーの体は夜の低空へ段々と小さくなっていき、やがて地平線の下に沈むように消えていった。
白い二重星は、まるで二つ並んだシロツメクサのように、いつまでもいつまでも輝いていた。
《おわり》
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