51:名無しNIPPER[saga]
2020/07/12(日) 21:45:43.26 ID:qe4+sBJv0
今しがた生命力が涸れかけていた花丸は、みるみるうちに生命力に満ちていく。
やがて、異変の中心でゆっくりと花丸が目を開けた──。
「ヨハネちゃん……?」
「は、花丸……体は何ともない?」
恐る恐る尋ねると、花丸はゆっくりとこちらに笑いかけてきた。
血色の良くなった顔が日の光を浴びている。
「平気だよ。少し寝たら身体が楽になった感じ。」
平気なわけない。普通なわけない。
たった数分寝ていただけで、生死の境を彷徨っていた身体が普通に戻っている?
「とりあえず、今日はもう帰ったほうがいいわ。ほら、家の近くまで送っていくから。」
ゆっくりと花丸の背を支え、起こしてあげる。
本当になんともない。
さっきまでの具合の悪さが嘘のようだ。
でも、確かに花丸の生命力はさっき尽きていた──。
もうすぐ死ぬ子供────
脳裏に貼りついた言葉はいつも影のようにヨハネの思考に付き纏う。
花丸はこの短い期間で2回も生死の境を彷徨っている。
紛れもない事実。
だとしたら、今目の前で起こっていた不思議な現象はいったいなんなのだ?
何か大きな力がはたらいているかのように、花丸を死の淵から救い出す力。
そんなものがあるのか?
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