53:名無しNIPPER[saga]
2020/07/02(木) 22:39:06.32 ID:0AxqYuWp0
「それでは伊月さんはどうですか?真実を知った今こそお聞きします。彼にホワイトナイトを託せますか。」
右京に問われた伊月は突然のことで戸惑うしかなかった。
正直なところ今は考えがまとまらない。まだこの事態に混乱していた。
電子レンジでタイムパラドックスが発生して自分の描いたホワイトナイトが自らの手から離れた。
それだけでもショックだというのに自分にどうしろというのか。
「そもそも伊月さんに対して今この場で許しを乞うのは余りにも不利ではありませんか。
既にホワイトナイトをジャンプに掲載させて世に送り出しさらには連載に踏み切る時点で今頃になって謝罪する。
こんな事態になってから謝罪されてどうしろというのですか。」
「それは…俺だって一度は躊躇しました!けど編集部に送られてきたファンレターを読んだんです!
それで俺の描いたホワイトナイトがみんなが楽しみにしてくれている!だからそれに応えたいんです!」
「何を言っているのですか。そのファンレターは本来なら十年後にホワイトナイトを描く伊月さんに送られるはずだったものですよ。
それを自分のものだと勝手に解釈するなど以ての外です。」
右京による辛辣な否定がなされる中で伊月は改めて哲平という人間を見つめ直した。
先ほど集英社で会った哲平はみんなを笑顔にするために漫画を描いていると言った。
だが今はどうだろう。彼は本当にみんなを笑顔にするために漫画を描いているのだろうか。それに…
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