56:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 19:02:08.71 ID:W5lmC8VA0
描かずに消したもの。読まずに伏せたもの。
「もう一度……私にも見れるのかな?」
身体の内側が、ジワジワと熱くなっていく。
なのに、さっきまで抱いていたモヤモヤとした燻りはとっくに消えて、霧が晴れたかのように軽い。
「はい、お嬢さま……きっと」
ふわりと、不思議な感覚に陥った。
気づかぬうちに斜めになっていた世界が、鮮やかな彩りを取り戻していく。
私にも、見つけられるのかな?
藍子ちゃんのように、小さな幸せを――かつていくつも取りこぼしていたものを。
どっちの方なのか分からない、震える手がピタリと止まった。
「そうだね」
見つけに行こう。
描かずに消した、読まずに伏せた夢をもう一度、広げよう。
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