23:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:34:31.70 ID:W5lmC8VA0
その日以来、私と藍子ちゃんは友達になった。
お互いに示し合わすわけでもなく、公園で散歩している時に度々会っては、他愛の無い話に花を咲かせるのだ。
「撮り方、と言われても、うーん……シャッターを押すだけとしか」
ある時、試しに撮ってみてはと提案をされた。
彼女から手渡されたトイカメラの使い方を聞くと、藍子ちゃんは困ったように頬を掻く。
「確かに、これだけ機構が簡素だと、あんまり技術があっても無くても同じな気がするね」
「たぶん、それも目的の一つなんじゃないかなぁって思います。
私みたいに器用でない人でも、小さい子供でも、気軽に写真を楽しめるように」
「ふぅん」
試しに、そばに植えられた花壇のお花にカメラを向け、シャッターを切る。
パチリ――どこか間の抜けた音が指先に伝わったけれど、手応えがあったかどうか、よく分からない。
「……プレビュー、見れないんだ?」
「そうですね。取り込むまで、どんな写真になっているか分かりません」
それも楽しみの一つです、と、藍子ちゃんははにかむ。
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