12:名無しNIPPER[saga]
2020/06/26(金) 17:10:03.80 ID:W5lmC8VA0
強いて私にも、使命があったとすれば、千夜ちゃん。
きっかけを与えられたことで、ようやくあの子は生きがいを得た。
黒埼の従者という呪いから解き放たれ、アイドルの世界で、自由に輝く太陽になれた。
もっとも、呪いを与えたのは他ならぬ私だったけどね。
でも、引き合わせることができて――楽しそうに生きる千夜ちゃんの姿を見ることができて、本当に良かった。
「それでは、行ってまいります。
使い終わった食器類は、流しの水につけておいてください。
空調は消さずにそのままで。連絡を受けていない来客には絶対に出ないように。それから……」
「うん、頑張ってね♪」
バタン、と生真面目に静かな音を立てて、今日もあの子はお仕事に出かけていく。
私には、それで十分なの。
「……さて、と」
これからはオフがいっぱい増えるんだから、今のうちにちゃあんと、私なりの自由な過ごし方を見つけていかないとね。
留守番をする予定だったけれど、ほんのちょびっとだけおめかしをして、私もまた、家の外に出た。
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