十時愛梨「それが、愛でしょう」
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49:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/18(木) 18:26:27.62 ID:n4MKx+790
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3.「THE IDOL M@STER」

 その話を切り出したとき、随分チャレンジャーだな、と、私を担当するプロデューサーは呆れるようにそんな言葉を残して困ったように頭を掻いていたけれど、それでも不敵に笑っていた辺り、彼も同じ穴の狢なんじゃないかと思う。

 果たして私は第二十二期プロジェクト・シンデレラガールズのオーディションに何とか受かって、初めてのミニライブに立とうとしているのだけれど、その道のりは決して順風満帆とはいえないものだった。それどころか、幸先が悪いといっていいものだったかもしれない。
 オーディションは、私が思い描いていた理想とは遙かにかけ離れたものだった。
 自己紹介の時には噛み噛みで、自分でも何を言ってるのかわからなかったし、しまいには自己アピールの機会で挽回しようとしたら、パイプ椅子の脚を踏んづけて派手に転んでしまう始末だった。
 正直、落ちたと、私も含めてあの時会場にいる誰もがそう思っていたに違いない。実際、涙目になりながらちらりと一瞥した隣の子なんて、小さくガッツポーズをしていたぐらいだ。
 この野郎、と、正直いらっときたけど、こんな重要な場面ですっ転んだ私が悪いと言われればぐうの音も出ない。形にしたのはその子だけだったけど、心の中では他の子だって同じことをしていただろう。


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