35:名無しNIPPER[sage saga]
2020/06/11(木) 20:14:54.79 ID:fM9nM/xA0
それでも今は、どうしてか、それこそ俺の命を担保にしろといわれても、そう断言できた。終わらないと、黒埼ちとせはアイドルとしても、人間としても、これからもずっと、終わらない明日に向かっていける。
多分、今日ここから。泣き暮れるちとせを抱き留めながら、祈るようにそう呟いた。
すれ違う十時さんと彼女のプロデューサーは、何も言わなかった。ただ、勝者として驕ることなく、そして、哀れむことなく堂々と、地鳴りのように響くアンコールに応えて、彼女たちの舞台へと凱旋していく。
だけど、ちとせを見る二人の目は、どこか温かで、きっと俺と同じ事を考えていたんじゃないかと、そう思った。
大丈夫。確信を持って言葉にする。きっと奇跡はこの世界に溢れていて、一人に三回訪れるなら、黒埼ちとせの明日は終わらない。
ちとせの分で足りないのなら、俺のそれまで使えばいい。それがきっと、俺に出来る精一杯で、大丈夫だから。
捜し物は見つかった。もう、見失うことはない。だから、こうして願うのだ。ありったけの、全身全霊を込めて、思うのだ。そうして、願いをこの手に手繰り寄せるために、俺たちは今を生きていく。それが、途切れて、消えてしまわないように。
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