【安価コンマ】貴方は世界を巡るようです 7巡目
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26: ◆Nq0wl2Ysns[saga]
2020/06/02(火) 03:09:53.05 ID:cdSYijSj0
「っ…………!?」
彼女の声が、囁きとなって僕の鼓膜を刺激する。ユウナの何時も元気で明るい声が、細められてひそひそとした声に変って――その変化に、僕は興奮にも似た何かを感じずには居られなかった。
「ワイズこれ……って。好きかどうか聞くまでもない、ね。目がトロトロだよー?」
「ふぇ……?」
「さっきも声トロトロだったけど、もっとトロトロになっちゃったねー……ふふ、じゃあ囁きながらもっと耳かきしていくね? 手前から、クルクル壁を回るみたいに奥に入って行く、そんな感じで?」
「あ、やぁ……声と耳かき一緒何て――」
それをされてしまうと、もう戻れなくなってしまうんじゃないかと。危惧してしまう。
だから僕は、そのふにゃふにゃになった声を何とか絞り出してそれは片っぽだけで良いと――。
「――かりかりかり」
――かりかりかり。
「んにゃあああああ…………」
ダメだった。
耳かき棒の刺激とユウナの囁き声というラスボス級の敵が二人同時に攻めてきたみたいな感じだった。
当然、僕はそんな敵に勝てる訳もなく――一瞬で敗北した。完膚なきまでに、叩きのめされた。
「――すりすりすりすり。くるくるくる。かきかきかき」
――かきかきかきかき……ぺりぺりぺり……がさ……すすーっ……。
「あ、あ、あぁ……ぁ……」
耳の中を掃除されるたびに、その気持ち良さに身体がよじれそうになる。しかしそれを何とか我慢しようとして、身体がぴくんぴくんと震えてしまう。
「……うーごーかーなーいーでー。だーめっ。今、へばりついてる奴をぺりぺりぺりってしてるから」
「ご、ごめんっ……ぅ……ぃ………!」
――ぺりぺり、ごそっ…………かきかき。
「くりくりくりくり……ねぇ、ワイズ?」
「ぅ…………」
「囁き声と耳かき、好き?」
かりかりくりくりと耳かきは続けながら彼女は訊ねてくる、そんなこともう分かり切っているはずなのに……当然、僕はふにゃふにゃと答える。
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