黛冬優子「ふゆのプロデューサー」
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4: ◆ty.IaxZULXr/[saga]
2020/05/25(月) 20:16:07.64 ID:GoWeZr8Q0
3 ハァトフル・フェアリイテイル・その3

『スカウトしてこい』とは、予想外でした。

色々と回ってみましたけど……あまりピンと来る方はいらっしゃいませんね。

以前後学のために訪れたメイド喫茶の近くですが、ちょっと事務所の方針とは違います。私の目的とも。

今日はいったん引き上げましょうか……おや?

あの方……ずいぶん真剣に何かを見ている。

横顔でもわかる、まっすぐな眼。見ていると、引き込まれるような。

ピクリ、と。心臓が跳ねる音がした……気がする。

同じ眼を知っている、とてもよく。

声をかけてあげて、あの人が言った気がした。

違う、私の妄想だ。妄想だから……私の意思だ。

声をかけないといけない。

P「すみません。少しお時間を、よろしいでしょうか」

冬優子「はい、なんですかっ?」

P「そんな真剣に、何を見てらっしゃったのですか」

冬優子「わっ、真剣だなんて……ちょっと恥ずかしいです。これ、大好きなアニメのポスターなんです!」

女子小学生向けアニメのポスター。18歳くらいの彼女はメインターゲット層ではなさそうだ。

冬優子「とっても素敵なアニメなんですよ♪どの子もとっても可愛くて……」

聞いてもいないが、彼女は話はじめる。それはそれは楽しそうに。

冬優子「あ……ごめんなさい。ふゆ、ついつい夢中になってしまって……」

冬優子「そういえば、ふゆに何かご用事ですか?」

初対面の、無表情であることに評判のある、私相手でも全く物怖じしない。好きなものを語る彼女の笑顔は、何と言っても可愛らしい。

P「いいえ、こちらこそ突然申し訳ございません。用事と言いますか……」

P「私は、283プロダクションという芸能事務所でプロデューサーをしております」

P「アイドルに、興味はありませんか」

冬優子「……」

冬優子「それって、つまり……スカウトってやつですか……?」

興味はありそうですね。この方を、手放してはいけない

P「はい。あなたの、眼に、強く惹かれました」

冬優子「興味……ない……わけじゃ、ないです……」

P「それなら」

冬優子「……でも、その前にひとつ、教えてほしいことがあります」



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