6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2020/05/21(木) 19:39:30.44 ID:wq3E2ozi0
〇
撮影のお仕事は想定していたよりも長引いて、夕食を食べるに適した時間からも、朝食を摂るのに適した時間よりも遠い、中途半端な暗闇へ私は放り出される。
遅くなる、とは聞かされていたけれど、ここまでとは。
鞄から携帯電話を取り出して、電源を入れる。
メッセージを送受信するアプリケーションである、チェインの通知がいくつか出ているのを認め、真っ先に開いた。
期待したとおり、ではないけれど、プロデューサーからのものもあった。
そこにはいつもと変わらないねぎらいの言葉と、いつもと違って一枚の写真が添付されていた。
「え」
驚きのあまり思わず、声が漏れてしまう。
なぜならその写真には、私の愛犬であるカトレアがプロデューサーの車に乗って、愉快そうにしている姿が写っていたからだ。
カトレアは寮のユニットメンバーが預かってくれるはずではなかったか。
そう思って、今度は私の所属するユニット、放課後クライマックスガールズのチェイングループを開く。
数時間前に、我らがリーダーである果穂から『夏葉さんのプロデューサーさんの車にぴょーんって乗って降りなくなっちゃいました!』と写真が送られていて、補足のように樹里が『果穂はちゃんとアタシと凛世とチョコで家まで送ってったから安心しろー』と書き込んでいる。
なんとも楽しそうな夕飯時の一幕を想像して、笑みがこぼれる。
できればその瞬間を共に楽しみたかったけれど、お仕事があったのだからこればかりは仕方がない。
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