アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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6: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 19:50:24.98 ID:z3oD1mZbo
ある日の、いつもの東京。
やたらに人が歩き回る、コンクリートの檻。生気のない顔で歩くリーマン連中なんか、懲役五百年の労働刑にでも科せられてんのかって、視界に入れただけでもう不安になる。
けど、どことなく前に比べ人は少ないような気がする。
なんでも、やべーウイルスがどうこうで、という事だったけど、詳しいことは何回テレビ見ててもよく分かんなかった。本格化し始めるのは、さらに少し時間が経った頃だ。
街はそれなりに人が出ているが、人の減少に焦って、ビラ持った人達が何かを配っていた。居酒屋のとか、人探しのとか。
……人探しねえ、大変だなと思いながらそれを見る。オレにはビラ渡されなかったからちゃんと見てねえけど、子供が最近いなくなったらしい。
まだ太陽が登りきってないくらいの時間帯、メディアに出る身は不規則なスケジュールになりやすいのだが、昼間に仕事が入ることだってごく自然なことだ。
ありがてえことに最近じゃあソロでもコンビでもお呼ばれの機会は増えている。ラジオだけど。主にラジオだけど。呼ばれたからってブルペンで投げ込みだけして、温まった体が毎回動かせないまま全体的に勝ち戦してんなぁ、みたいな事も増えたけど。
……まあ、それはいいんすよ。いいんだ。オレの仕事してない問題は今いいじゃないすか、だからこれは置いておいてさ。若様もおもしれえとは言ってくれてんだからさ。
その日は最寄りから歩いて行けるような距離の移動だったし、天気もそこそこ良いし、地下からでも行ける現場だけど、とりま地上の歩道を歩こうじゃないかと思って歩いていた。歩いていくうち、車道挟んだ対岸に、違和感を覚えてオレはそっちを向いた。
不意にビルとビルの隙間、大きな穴がぽっかりと空く。
「あれ?」
不自然なくらいに、そこになにもなかった。
この間まで、そこにわりかしでけぇビルなかったっけ?多分八階建てとかだと思うけど。記憶が確かなら、ほんの数日前まではそこに、確かにあったはず。
今見たらそこは既に更地になっていて、まるでシンクホール。ぽかんと、そこの地面だけ異世界転生したみてえな風だ。ぜんっぜん気付かなかった。
来年にゃ新しいビルが建つらしい。ああまあ、来年だと五輪間に合わねえけどな、なんて笑ったのは過去。今考えれば、来年でも間に合うし、むしろ間に合ったとて本当にやんのか?みたいな感じになってっけど。
生き物みたいに、土を食むショベルカー。重機が地面にトドメ刺すみたいな、そんな感じで地面を均していた。
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