周子「だから、あたしが逢いに往く」
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42:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:16:45.92 ID:XnGtX3Tv0


「あらら……もうバレちゃいましたか」

「茄子さん、どうするのでしてー?」

 周子が左右の手で飛来した矢を握り止め、その先に潜んでいた者を睨みつける。
 熟練の老兵かと思えばまだ年端もいかない少女が二人。片方は紗枝とそう歳も変わりなさそうだった。

「大丈夫です。足止めの基礎は固まってますから、あとは近づくことなく数で攻めますよ!」

「はいでしてー」

 二人の袖の奥から人型に切られた紙吹雪が舞う。
 それらは風もなく舞い上がり螺旋を描くと周子へと目掛けて襲い掛かった。
 周子は妖気を振り撒き式神達を焼き払いにかかる。
 どす黒い炎の帯が降り注ぐ式神の群れを覆いつくす……かに思えた。

「!」

 周子が放った炎の帯を式神がすり抜けた。
 術を込めた紙切れごときに通り抜けられるものではないはずだったそれを易々と突破する様に周子の目は初めて驚愕の色を見せる。
 式神達はそのまま周子の体に貼り付きそして―

 ドガン!

 式神が、爆ぜた。
 最初の一枚が爆発すると連鎖するように他も爆煙を上げる。
 小さな紙とて一枚で常人一人は仕留められる威力であり、そしてその枚数は百近くに迫ろうか。
 絶え間ない爆音と黒煙が周子を塗りつぶしその場に押しとどめる。
 勿論この二人、鷹富士茄子と依田芳乃はこの妖をこの程度で仕留められると考えるほど油断はしていなかった。
 片方が式神を放つ間にもう片方が新たに補充し波状攻撃を仕掛け少しでもこの相手をこの場に釘付けにする。
 援軍が揃うまで暫くはかかるだろうが、このままならば多少なりとも弱らせることはできるだろうと、そう考えていた。



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