22:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:30:49.68 ID:XnGtX3Tv0
「どしたん?お嬢ちゃんなんか楽しそうなことしとるなぁ」
少女が振り返る。
一瞬驚いたような目を見せたが、シューコの姿を見た途端にその口角が吊り上がる。
宝箱の中身を見つけたようで、釣り上げた魚を眺めるような
シューコはそこで確信する。
推察、いや天性の勘か、この小娘は眼前の相手の“中身”に気付いていると。
「なぁんだ、描き終わらなくても効果あるんだ」
「阿保か、こっちから出てきてやったんや感謝しぃや」
のらりくらりと相手をだまくらかす飄々とした表情は今のシューコからは消え失せていた。
この少女の描いていたそれは可視化の陣。
通常見えないはずのものや姿を隠しているもの、そういったものがこの上を通った場合にのみ強制的に人間の肉眼に見えるようにする特殊術式。
そんな限定的すぎる状況を想定した陣など普通は使うことなどまず有り得ない。つまり
「ねぇ……“キミ以外の”妖怪ってもういないの?」
「……何者や、あんた」
「あたしは志希、一ノ瀬志希」
シューコにとってもう一つの大きな分かれ道。
宮中の薬師を務める千年に一人の天才にして霞皇国きっての問題児
一ノ瀬志希との邂逅であった。
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