周子「だから、あたしが逢いに往く」
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13:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:08:49.67 ID:XnGtX3Tv0





葉の裏に刻まれた「紗枝」の二文字。神社の境内に腰掛ける二人。針が示すは午後の二時。

「へ〜、上手く書けとるやん」

 紗枝からもらった金平糖を頬張りつつシューコは受け取った葉の柄をつまんで回す。
 見事に晴れた空を見上げて木の葉をかざしてくるくるくる。
 そうやってシューコが昨日の自分と同じことをしているのを見て、紗枝としてはなんだか少し可笑しく感じた。

 浮世離れな雰囲気を漂わせる人だと再開した今でもそう思うが、こうして同じ行動をするのところを見て少しばかり親しみを感じる。

 白を基調として鮮やかな青が所々に施された和装束
 晴天の今だからという理由を差し引いても一層透き通るように輝く白い肌
 しかしこんな人でも齢十の自身と同じことをするのだと。
 八つか十は年上に見えるが、もしかしたら子供っぽい部分もあるのかもしれない。
 そう思うと、なんだか不思議と嬉しい気がする。
 そんな紗枝は空模様とも合致してなかなかにいい気分だった。
 見事に晴れたということもあり、本日分の課題をいつも以上の早さで片付けて
 爺やから狙い通りもらった金平糖の小袋を握りしめて郊外の神社めがけて足早に駆けてきた。


 一方シューコとしてもそんな紗枝の様子は多少なりとも興味を引くものだった。
 いかにも見た目は箱入りな少女がこんな街角離れた神社に一人で出向いてきているのだ。
 以前見てきた者達の傾向からは異なっているように思える。
 髪艶や衣にしても所作にしても有象無象の家の者ではないことは横目で捉えて感じ取っていた。
 しかしそれならば従者の一人や二人連れ立っていてもよかろうに。

 周囲に気を巡らせるも監視らしき者は見当たらない。本当に一人なのだろう。
 随分とのびのびとさせているものだと思う。




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