俺は愚かな男だった
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11:名無しNIPPER
2020/05/07(木) 17:27:43.63 ID:S8paJmtWO
林田さんは寂しがりやな人だった。

夏休みに入ってから、メッセージアプリに通知のなかった日はない。そして内容も特にない。

夏祭りは何を食べよう、自宅で小説は書いているのか、にしちゃんは彼氏いないのかな。エトセトラエトセトラ。そんな連絡に律義に返してしまうのは、俺が後輩だからという以上に林田さんとやり取りをするのが楽しかったからだ。

西口さんからもたまに内容のないメッセージは来るが、林田さんほどのペースではなく、そしてそれも長続きはしない。男女差も学年差もあるんだから当然だ。

それなのに、林田さんからの連絡は不思議な程に長続きする。こちらが話題を考えるまでもなく、林田さんがどんどん話を振ってくれるからというのもあるだろう。

『尾関くんは彼女作ったりはしないの?』

『作りたい、で作れたら苦労しないです』

この人は自分がいかに恵まれているかを理解するべきだと思う。

『じゃ、好きな人とか』

片思いの相手、というのも正直に言えばいないものだ。普段から林田さん、西口さんという美人二人といるせいか、同級生でこの子可愛いなと思うこともあまりない。いい人だな、話しやすいなって子だったり、仲の良い女友達はいても、好きだと思う子はいなかった。

『うーん、ないですねぇ』

『じゃ、私なんてどう? 優良物件だと思うよ』

『すぐに振られて落ち込みたくないんで遠慮しておきます』

こういうこと、すぐに言ってくるから相変わらず林田さんはつかめない。


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