もしもし、そこの加蓮さん。
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78:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 19:46:08.58 ID:SPkljqcV0

唄い終えた卯月に喝采が降り注ぎます。

コンサートライトを振りつつ大きな拍手をするのは難しいなと思いながら、
まぁいいかと気にせずライトのグリップをべちべちと叩いている途中でした。
水を差すように彼が加蓮の肩を叩き、
先ほど入ってきたばかりのスタッフ用通用口を掲げた親指で指し示します。

それまでとは打って変わったような蒼の光で照らし出されるステージに後ろ髪を思い切り引かれつつ、
彼女は渋々ながら頷きました。


再び分厚いドアを潜ると、体の芯まで揺らすかのような熱は姿を消し、
静けさが鼓膜を痛めつけます。

 「もう終わり?」

 「この後、城ヶ崎さんのバックダンスあるだろ」

 「そりゃ……そうだけどさ」

 「楽しんでもらえたようで何より。さて……どうだ? 連れ出した意味、分かったか?」

気付けば握りっぱなしだったコンサートライトを見つめました。
グリップ側を彼へと差し出し、頷きます。


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