48:名無しNIPPER[saga]
2020/04/29(水) 00:39:49.10 ID:SPkljqcV0
◇ ◇ ◆
「……よし」
残心を切り上げ、スポーツウェアの裾で汗を拭うと、
三脚に据え付けたビデオカメラを操作する父の所へと戻ります。
既に陽も暮れ、街灯だけが頼りとなる公園でしたが、
父は今の時代に珍しいホームビデオ愛好家でしたから、
高精度のセンサーを積んだフラッグシップモデルは、
暗夜の闇の中でも愛娘の姿をバッチリと捉えていました。
「ご希望通り、脇から角度を付けて撮ってあるよ」
「ありがと。へぇ……けっこう印象違うなー」
レッスンも無く面倒な宿題も課されていない夜、
加蓮は自宅から三分ほど歩いた所にある公園で自主レッスンを重ねています。
こっそり家を抜け出そうとしたその初日にあっさりと露見し咎められてから、
父はこうして毎回ビデオカメラを携えて同行してくれるようになりました。
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