35:名無しNIPPER[saga]
2020/04/27(月) 00:50:42.19 ID:Hmn4qVbR0
イヤなんかじゃありません。イヤな筈などありません。
時には消灯後に被った布団の中で画面越しに眺める事さえあった、アイドル。
なってみないかと問われた所で、首を横に振れる訳がありませんでした。
ただ、余りに突然過ぎたものですから、
果たしてどうしたらよいものか、決めあぐねているだけなのです。
「……悪い?」
「悪くなんかありませんよ」
絞り出すような一言に、彼は屈託無く笑ってみせました。
「でも」
「でも?」
「キャラじゃなくっても、体力が無くても。特訓も練習も、
下積みも努力も気合も根性も、全部ぜんぶ、こなしてもらいます」
今度は正面から視線をぶつけ合いました。
厨房の奥からポテトの揚がったタイミングを知らせる電子音が何度か響きます。
「北条加蓮」
カウンターに置かれっぱなしだった名刺を指先で掬い上げました。
「忘れられないアイドルになるよ」
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