もしもし、そこの加蓮さん。
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33:名無しNIPPER[saga]
2020/04/27(月) 00:38:31.33 ID:Hmn4qVbR0

百万の人々が行き交う街、渋谷。
その中で女の子一人を見つけ出すというのはほとんど確率論の話になってしまいます。
たった一ヶ月やそこらで何とかなる類の話ではありません。

ですが男は、加蓮を見つけ出してみせました。

 「……ふぅん」


加蓮は運命とかいう言葉が大嫌いでした。
それ自体が何だか掌の上で踊らされているようで、とにかくイヤだったのです。

確率、確率論だと、加蓮は心の中で大量の賽をぶち撒けてやりました。

 「それで?」

 「え?」

 「アンタがアタシをアイドルにしてくれるの?」

忙しなく流れ続ける渋谷の街を眺めながら、ほとんど無くなりかけのコーラを啜ります。
賑やかなお店の中で、彼女の隣だけがぽっかりと空いたように静かでした。
ガラスに映る彼の表情は、街の眩しさに紛れてよく見えませんでした。


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