もしもし、そこの加蓮さん。
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275:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 22:49:12.05 ID:7gnP6kF90

会場は静まり返って。
再びざわめき始めるまでの数十秒間を、
加蓮はマイクが壊れるほど強く握り締めながら待ちました。


――もちろん!


後部中央に居たファンの誰かが、力の限り叫びました。
それから少し間を置いて、彼ら彼女らが次々に声を張り上げます。


――休んでー!

――明日でもいいよー!

――明日は仕事ぉーっ!

――俺もー!

――めちゃくちゃ休憩してー!

――待ってるからーっ!


そのうち、重なり合った声はほとんど聞き取れなくなってしまいます。
滝のように汗を流しながら、それでも彼女は三千の声にじっと耳を澄ませました。


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