もしもし、そこの加蓮さん。
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274:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 22:44:32.87 ID:7gnP6kF90

美嘉に今度は背を撫でられて、
絶え絶えだった呼吸のリズムが少しずつ取り戻されていきます。
細く長く息を吐いて、加蓮は背筋をぴんと伸ばしました。

 『最後に……最後に、新曲、唄うよ!』

どよめきは、歓声に。

 『でも、その前に一つ……お願いが、あるんだ』


隣へ視線を送りました。
カリスマギャルがバチリと音の出そうなウィンクを返してくれて、加蓮は笑ってしまいます。


信頼を失うのは一番恐ろしい事だと思っていました。

仲間の信頼を、
プロデューサーの信頼を、
それからもちろん、ファン達の信頼を。


これから送り出す一言は、
これまでに積み上げてきた北条加蓮のイメージを粉々に砕いてしまうのかもしれません。


それでも加蓮は、分の悪い賭けだとは思っていませんでした。


 『実は結構、疲れちゃってさ……休憩しても……いい、かな?』



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