もしもし、そこの加蓮さん。
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210:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 21:10:45.96 ID:GVB5f6680


 「あの娘を見て、分かった。
  私……好きだからとか、やりたいからとか……
  そんな理由だけで頑張れる人に、ただ憧れてただけだった」


そこまで話すと、加蓮は言葉を切りました。
少し喋り過ぎたと、微かに頬を赤らめます。

 「……そっか」

美嘉は肯定も否定もせず、加蓮の瞳を覗き込んで柔らかく笑いました。


一緒に居ると気を許してしまって、ついつい話し過ぎてしまう。
加蓮にとって美嘉はそんなアイドルで、
帰宅してからベッドの上で転げ回った経験も一度や二度ではありません。


猫みたいに気持ちの良い伸びをして、美嘉が帰り支度を始めます。
すっかり存在を失念していた時計を見れば、
針はまもなく二十一時を回ろうとしていました。


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