もしもし、そこの加蓮さん。
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206:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:48:20.96 ID:GVB5f6680

 「どう?」

 「全体的に右回転が遅い。右足首、かばってるでしょ」


醒め切った声でした。観念したように両手を上げ、手招きに応じる形で出頭します。
普段は快活な美嘉の瞳がじとりと細められ、
加蓮は誤魔化すような笑みを浮かべるしかありません。


 「かーれーんー……? 何度言ったら分かんの!
  オーバーワークはケガのもと! はい復唱っ!」

 「オーバーワークはケガのもとっ!」

 「よし。マッサージしてあげるから、こっち来て脚伸ばして」

 「美嘉お姉ちゃん……!」

 「こんなでっかい妹は知らないよ」


口では色々と言いつつも、結局、面倒見は良いのが美嘉お姉ちゃんです。
丁寧なマッサージを施すと、改めて加蓮にスポーツドリンクを差し出します。

二人並んで壁に背を預け、束の間の静かな時間が続きました。
時折、美嘉が加蓮の方へ視線を送り、けれど何も言いません。


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