202:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:24:05.55 ID:GVB5f6680
憑き物。
改めて他人の口からそう表現されると、
何だか小気味好い気分がして、加蓮は小さく笑いました。
怪訝そうに首を傾げる彼へ、加蓮は掌を見せて話の続きをせがみます。
封筒の中から出てきたのは、見覚えのある表紙でした。
「上もそう評価してる。バースデーライブだ、加蓮」
手渡された企画書をめくるでもなく、加蓮は両手で抱えたそれをじっと見つめます。
彼女が黙り込むのは色々と思案を巡らせている時間だと、彼はもう知っていました。
「昔はさ、誕生日が嫌いだったんだ」
そして一言だけで話を区切るのは、続きを促せという合図。
「どうして」
「病室で迎える事の方が多かったから。
あぁ、また来年もここに居るのかなって、そう思っちゃうんだよね。どうしても」
「……そう、思うかもな」
「それに、せっかくプレゼントを貰っても、病室にはなかなか置いとけなかったし。
携帯テレビだって、電波とかの関係で病院の許可を貰うくらいだったから」
「じゃあ、今は?」
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