もしもし、そこの加蓮さん。
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203:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:28:49.21 ID:GVB5f6680

分かりきった質問を投げ掛けるのも、プロデューサーの重要な役目でした。
両手に持っていた企画書を胸にそっと抱きしめて、
加蓮は抑えきれないと言わんばかりの笑みを零します。

 「楽しいよ。いつも、いつだって、次の誕生日が一番楽しい」

 「違いない」


ようやく中を確かめ始めた彼女を横目に、彼は続けます。

 「休憩三十分含めて百二十分。
  ユニット曲合わせて全十二曲。MCを抜いたって最低六十分は唄いっぱなしの計算だ」

 「いいね」

 「……渋谷さんの口癖、移ってきてるぞ」

 「可愛いとか言うなー」

 「言ってない。それ神谷さんのだろ」

 「バレた?」

隠す気ゼロの演技がバレて、加蓮は小さく舌を出しました。
わざとらしいその仕草は、しかしひどく魅力的で、
至近距離で喰らってしまうとなかなかの威力を誇ります。

ですがその程度でいちいち吹き飛んでいては、
北条加蓮のプロデューサーなど務まりません。
上手に目線を泳がせて、
全部分かっている彼女にニヤつかれるまでが一セットなのです。


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