177:名無しNIPPER[saga]
2020/05/08(金) 01:23:54.11 ID:qTjhoOKq0
「あ、これも知ってる」
「ロダン……あれ、ダンテさんだっけ?」
「ロダンで合ってるっぽい。地獄の門……物騒だね」
内部展示の見学を終え、三人は再び外へと戻って来ました。
前庭に幾つか並ぶ彫刻のうち、ひときわ目を引く門の前で立ち止まります。
オーギュスト・ロダン作、『地獄の門』。
ギベルティの手による通称『天国の門』を参考に作られたとされる、
世界でも一、二の知名度を争う扉です。
「で、あの上の方に座ってるのが『考える人』だと」
「へぇ……意外にちっちゃいんだね」
「でっかいのもあるみたいだし、行ってみるか?」
「いいね。加蓮、向こうに……加蓮?」
凛の呼び掛けも届いているのか、いないのか。
加蓮は自分の背丈を遥かに超える巨大な扉を、何も言わずに見上げていました。
凛は何故だかもう一度声を掛けようとするのが躊躇われて、
加蓮の細っこい背中を見つめるだけでした。
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