もしもし、そこの加蓮さん。
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169:名無しNIPPER[saga]
2020/05/08(金) 00:29:31.85 ID:qTjhoOKq0

トンボはまたどこかへ飛んで行ってしまったようです。
二人から強引に背負わされた任務を終えた解放感と、訳も分からぬ羞恥心に挟まれ、
加蓮はすっかり息を荒げていました。

目の前で震える娘の姿と、先ほどの言葉とを、ゆっくりと噛みしめて。


母は、やっぱり笑うのです。


 「卵焼きにほうれん草、入れる?」

 「……入れるっ」


それだけ絞り出すと、加蓮は逃げるように二階へ駆け上がって行きました。
それから勢い良くドアが開閉する音と、姦しく何やら言い合う声。


また湿ってしまった父のシャツへ、母はもう一度アイロンを掛けました。



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