もしもし、そこの加蓮さん。
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170:名無しNIPPER[saga]
2020/05/08(金) 00:37:38.28 ID:qTjhoOKq0

 ◇ ◇ ◆


 「しおり配るぞー」


お尻から伝わるバス特有の重たいエンジン音。
行楽の秋と呼ぶに相応しい陽光を車窓の外に眺めながら、
奈緒は二人に一枚ずつ紙を手渡しました。


『遠足のしおり・北条加蓮スペシャル』と題された、
もはや手作り感以外は伝わってこないその旅程表には、
本日のスケジュールがそれはもう大雑把に記載されています。

午前と午後に何かをするよという頼りない情報と、
おやつは三百円までと太字で記された注意事項と、
後はところどころに辛うじてフライドポテトだと分かるイラストが散りばめられているだけでした。


一瞬。一瞬だけ、ともかく何か言ってやろうとしました。
しおりから視線を上げると、にこにこ笑顔の奈緒がこちらを見つめていて、
それで加蓮は何も言えなくなってしまいました。
隣の凛が苦笑を零します。

ブザーと共に乗降扉が閉まり、路線バスが走り出しました。


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