160:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 23:33:54.24 ID:XPAMg3p00
凛の口調には全く遊びがありませんでした。
びくりと震えた奈緒を尻目に、加蓮の瞳をじっと見つめます。
「私達、帰った方がいいかな」
「……は、え? 急に何言って」
「部屋を出るとき、泣いてた。加蓮のお母さん」
最後まで言葉を紡げずに、奈緒が息を飲みました。
加蓮の眉が綺麗な半月を描き、それから徐々に緩んでいきます。
「あー……かもね」
「かもね、って……加蓮」
「あ、ううん。違うよ、凛。たぶん……嬉しかったんじゃない?
最近はともかく、小さい頃、私ってほんっと友達居なかったからさ」
「はっ?」
固まっていた奈緒が口だけ動かしました。
「私の部屋に来てくれた友達も、二人が初めて。
だから……まぁ、親不孝じゃなくて安心したんじゃないかな」
「へぇ……奏とか美嘉ともよくつるんでた気がするけど」
「最近の話じゃなくて、ずっと。生まれてから」
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