139:名無しNIPPER[saga]
2020/05/07(木) 20:34:28.08 ID:XPAMg3p00
◇ ◇ ◆
念のため、髪をアップに纏めておきましたし、上着だって一枚羽織ってあります。
ですが彼は飛ばす訳でもなく、海岸沿いの道を法定速度で流すだけ。
加蓮にとって、窓も屋根も無いドライブは、やはり生まれて初めての体験でした。
運転席の彼ほどではありませんが、それなりの上機嫌が顔を覗かせ始めます。
「それで?」
「うん?」
「随分と楽しそうだけど、何でアタシを連れ出したの」
「あー、そりゃ両方同じ答えになるな」
「?」
「ずっと叶えたかったからな」
夫婦らしき男女を乗せたスポーツカーとすれ違う間際、軽くクラクションを鳴らされます。
応えるようにこちらも鳴らし、軽く手を振りました。
「夢だったんだよ。外国の海岸沿いを、
助手席に可愛い女の子乗せたオープンカーで走るのがさ」
「奏でも乗せたらよかったじゃん」
「悪かったって……アレは……男なら仕方無いんだよ」
「そうだね。男の子だもんね」
「ぐぬ……」
307Res/234.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20