もしもし、そこの加蓮さん。
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131:名無しNIPPER[saga]
2020/05/06(水) 23:11:10.40 ID:EfLG+Erp0

 「ところで加蓮、泳げるのか?」

 「ううん」

 「だとは思った」

加蓮も裸足ではありましたが、水着の上にはパーカーを羽織っています。
両親から持たされた鍔広の帽子を直し、彼をすいと見上げました。

 「泳げなくたって構わないさ。とりあえず浮かんでみればいい」

 「人は水に浮かないよ」

 「そこからか……」

苦笑を零しつつ、彼は海へ向けて歩き出しました。
二歩ほど遅れて加蓮が後をついて行くと、さり、さりと砂浜が音を立てます。
砂浜が湿り気を帯びてなお気にする様子も無く、立ち止まった加蓮の前で、
彼はチノパンとサンダルのままじゃぶじゃぶと海へ分け入ります。

 「……ズボン、いいの?」

 「そのうち乾く。あと、少しくらい濡れた方が良い男になる」

 「……」

 「ほら、そこでこう……もう良い男じゃんとか、こう、何か一つ」

 「呆れるくらい碧いね」

 「さっき言った」


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