もしもし、そこの加蓮さん。
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113:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 23:45:27.13 ID:QqIdgo5i0

 「コールドスリープから目覚めた後、お仕事貰うじゃん?
  必ず一日一回はミスがあるのに気付く場面、けっこー怖かった」

 「なるほど……確かにその場面は、私も覚えています。
  遠からず機械知は人智を超えると、彼は予見していたのかもしれません」

同好の士というのは、お互いの存在を鋭く嗅ぎ付けるものです。
文香もまたご多分に漏れず、今度は加蓮の頁を紐解こうと話を続けました。


 「加蓮さんは……どういった本を、多く読まれるのですか?」

 「最近はご無沙汰だけど、割と何でも。
  小説なら短編かな。好きなように読めるし」

 「と、言いますと……星新一なども」

 「うん。オー・ヘンリーも好き。『ゴム族の結婚』とかほとんど勢いだけで笑っちゃった」

 「確かに……あの作品はユーモラスでした。私は、短編ですと――」

こと、語るという点において、哲学者と読書好きに並ぶ者は居ません。
並びたくもないのかもしれませんが、さておき。


文香は水を得た魚でした。
普段は隠れがちな両の瞳を幼子のようにきらきらとさせ、書について加蓮と語り合います。
なかなか読書好きのアイドルも少ないものですから、ここぞとばかりに。


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