もしもし、そこの加蓮さん。
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107:名無しNIPPER[saga]
2020/04/30(木) 23:00:59.75 ID:QqIdgo5i0

目の端に滲みかけていた涙を軽く拭い、
奏はようやくいつもの落ち着きを取り戻します。

 「ねぇ。よければ聞かせてもらえる? 貴女と神様の馴れ初め」

 「馴れ初め、って程のもんでもないんだけどね」


加蓮にとって、過去は隠すものでも、話すものでもありませんでした。
求められれば提示し、そうでなければただ持ち歩く。

生まれた事実を消せはしないように、辿って来た過去とは、現在の自身を構成する要素。
彼女はそう認識しています。


ですから加蓮は、自身の思い出を冗談交じりに語ってみせました。
学会の発表などではない、友人への雑談として。
面白おかしく、時に自慢気に、奏が退屈しないように。


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