10:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:03:53.58 ID:63FTC/uF0
加蓮は今よりもずっと小さな昔から、負けず嫌いで、頑固な所がありました。
道端でごてんと転んでも痛くないと嘯いて、
涙をぼろぼろと零しながらしゃくり上げるような子供だったのです。
一度決めたら、加蓮は譲りませんでした。
11:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:11:25.20 ID:63FTC/uF0
「…………かみさま」
テンノカミサマの言う通り。
12:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:22:04.98 ID:63FTC/uF0
何度目かの退院を果たすと、加蓮は足繁く図書館へと通うようになりました。
以前から読書に費やす時間は多かった彼女ですが、今回はそれに輪を掛けて。
学校のお勉強よりもよっぽど熱が入っています。
13:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:37:53.80 ID:63FTC/uF0
ここからは一筋縄ではいきません。
バイブルもコーランもヴェーダも、
原典に近付こうとすればするほど、その解釈は困難になってゆきます。
14:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:47:35.73 ID:63FTC/uF0
読書慣れさえしていれば幼い子供にも親しめる星新一の書を、加蓮もまた楽しんでいました。
彼の作品にはとにかく博士や泥棒や天使や悪魔や宇宙人や未来人などなどが登場するので有名ですが、
今回は神様と天使達の出番でした。
15:名無しNIPPER[saga]
2020/04/25(土) 21:55:16.16 ID:63FTC/uF0
加蓮は聡い娘でしたから、もうとっくに分かってはいたのです。
ただの少女である加蓮に神へ挑む術など無く、弱点がどうこうの話なんかではないのだと。
生来の負けず嫌いが顔を出して、結論を先に先に延ばしていただけなのだと。
16:名無しNIPPER[sage]
2020/04/25(土) 21:58:24.00 ID:63FTC/uF0
続きはまた明日の夜に
17:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 21:44:40.91 ID:DTyxDqAB0
【U】クランク・イン
夕礼を終えたその瞬間に教室内の騒音は最高潮へと達しました。
18:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:01:13.11 ID:DTyxDqAB0
◇ ◇ ◆
実際、加蓮は上手くやっていました。
19:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:07:41.07 ID:DTyxDqAB0
今日の彼女は何だか薄ぼんやりとしていて、
いつもなら校門を出て十秒後には耳へ差し込んでいるイヤホンを取り出す様子もありません。
しばらく駅へ向かって歩いた所でようやくその存在を思い出すと、
鞄の中に手を突っ込んで、それから小さく溜息をつきました。
20:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 22:24:16.57 ID:DTyxDqAB0
気まぐれで足を運んだに過ぎませんが、到着したのは上映開始時刻の十五分前。
なかなか良いタイミングじゃん、と少し気分を良くした加蓮は、
カフェで買ういつものアイスコーヒーをSサイズからMサイズに代えて、
ふかふかの青い椅子にぽんと腰掛けました。
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