【オリジナル】自殺したら僕だけを誉めない有名絵師の彼氏になった件
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37: ◆wqJOdKDc/.
2020/04/25(土) 09:41:51.11 ID:U1qw9Qt5O
「これで十三件目、ですか」
「うんにゃ、日曜から合わせて六十六件だ。『人殺しの本なんて読めない』ってな」
「そんなにですかっ!?」

イベント会場であれ、店舗委託であれ、同人誌が一冊売れるたび作者は言葉で言い表せないほど感激するもの。
そんな愛と努力の結晶が、作者の人間性を理由に読まれなくなる。
それがどれだけクリエイターにとって恐ろしくて、悲しいことかよくわかっている。

「店長からも言われてんだよ。『今後は彼女との委託契約も切る可能性があると「上」が話
してる』ってな」
「……そう、なりますよね」

繰り返しになるけど、僕はあくまでTERIAさんの「作品」の大ファンではある。
また彼女が多くの人達から「人柄」についても好かれているのだって理解している。
それらを承知の上で、僕は彼女の前で命を絶ったのだ。
それだけ、僕の作品だけが誉められない精神的苦痛は大きかったのだから。
彼女の悪いところだって、前々から色々知っていた。
知っていたけど、ずっと他のファン達同様に見て見ぬフリをしてきたんだ。

「彼氏として辛いよな。彼女さんが作った本がさ、こうやってゴミみたいに扱われるのは」
「……はい、辛いです」

僕が成した「復讐」は、僕が想定していた以上に大きなものとなっていた。
鳥肌が立って、身震いが止まらなかった。


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