響「確かに気持ちは分かるのだけれど」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/04/24(金) 20:25:55.33 ID:U3sL0+DQ0
気付けば事務所に居た全員が雑誌を囲むように集まっていて、じっとそれを見つめているのだけれども、とうとう全てのページを捲り終わっちゃったものだから、あれ、とか、無いね、と口々に呟き始める面々のそれを聞こえない振りというか、半ば自分自身に言い聞かせる様に、違います、そんな事はありません、と貴音は呟きながら手当たり次第の頁を開いて探し続けた。

「目次は?」

はっ、と自分を見つめた貴音は巻頭にページを戻し、それを確認するのだけれど、そこにも四条貴音の文字は無いのでいよいよ妙な空気が色を濃くするわけだけども、春香辺りがあっ、と指差したのは今注目のアイドル達云々という見出しで、貴音はばっとその該当の頭頁を開いたけれども、ぱっと見貴音の事を言う文章は無いし、勿論写真も載っていない。
だんだんとそんな空気に曝されたのか何なのか、貴音もさっきとはうって変わって頁を捲るスピードがそろりそろりという感じになっていて、それでも皆で眺めていれば、アイドル特集が始まって7、8頁目位で誰かが、あっ、と声をあげた。

貴音の写真だ。

にやりとした貴音のバストアップ写真がちょこんと載っていたのだ。

おぉ、載ってる載ってる、と思う一方で、何というか、その、どう表すべきか悩むのだけど、載ってる見出しも、『おまけA:通好み!!イロモノアイドル』なんて物で中身も均せばしゃべり方に癖あり位事しか書いてないし、正直いって本当にちょこんって感じの小さな写真だったものだから、反応に困るというか。
きっと皆もそう思ってるに違いなくて、春香は何となく目を逸らしてたし、律子はまばたきし過ぎだし。そんな中誰かが呟いた一言で、事態は急速に変わっていくのだけれども。

「切手みたい」

ぼそっとした声だったし、また雑誌を眺めてたから本当に分からないのだけれど、誰かがそう呟いた。確かに貴音の写真は斜めからのバストアップで、それにサイズもサイズで切手のそれだし、あとは回りにギザギザの模様と右下に数字が入っていれば、完全にそれであった。何円だろう?、なんて考えた辺りから自分も含めそれぞれ限界だった様で、周りからくすくすと笑い声が漏れ始めた。


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