【鬼滅の刃】「桜と梅と」【ぎゆしの】
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10:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:09:11.69 ID:TJReGnPWO
「そんなんだから嫌われるんですよ?」
「俺は嫌われてはいない」

 こんな軽口を言えるこの時間はとても幸せな時間だ。こんな時間がいつまでも続けばいいのに…そんな私の願いはこの少し後にボロボロと崩れ落ちることになるとは思ってもいなかった。


11:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:10:01.48 ID:TJReGnPWO
「鬼殺隊を辞めなさい…」
「カナエ姉さん!言ってよ!お願い!」

 カナエ姉さんが鬼に殺されたのはその年のことだった。どうして、どうして、どうして…その時の私には、事実を受け入れることができなかった。どうして姉さんが死なないといけないの?誰からも好かれていた姉さんが、みんな大好きだった姉さんが…


12:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:11:21.94 ID:TJReGnPWO
 家族を亡くしたあの日から、私の世界は姉さんを中心に回っていた。たぶんそれはカナヲやアオイもそうだった。蝶屋敷にいる女の子たちもみんなみんな、姉さんのことが大好きだった。そんな姉さんが…どうして殺されないといけないの?


13:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:13:17.46 ID:TJReGnPWO
「人も鬼も仲良くすればいいのに…」

 それからと言うもの、私は姉さんの姿をどこかに残したくて必死だった。
 姉の口癖を真似した。似合ってもいないぶかぶかの羽織を着た。姉が好きだと言ってくれた笑顔を無理やり貼り付けた。全ては姉さんを…誰からも必要とされていた姉さんをこの世につなぎとめるために。


14:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:13:51.71 ID:TJReGnPWO
「てめェ…いい加減にしろよォ!」
「はい?どうされました?」

 だからこんな風に不死川さんに胸ぐらを掴まれたって辞めるつもりはない。



15:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:14:25.44 ID:TJReGnPWO
「こんな時まで笑顔かァ?それはカナエが望んでた笑顔なのかよ?」
「ッ…」

 違う、違う、違う、違う、そんな浅い理由じゃない。私がどんな想いでやっているのかも知らないくせに…


16:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:15:09.58 ID:TJReGnPWO
「…そこまでだ」
「あァ!?」

 冨岡さんが止めに入ってくれる。いつもいつも不死川さんの神経を逆撫でする彼だけれど、今回ばかりは助かった。

以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:15:46.55 ID:TJReGnPWO
「ありがとうございました」
「…お礼を言われるようなことはしていない」
「ですが…」
「それと…」
「はい?」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:16:29.66 ID:TJReGnPWO
「お花見をしましょう」

 そんなことを続けて、新しい春がやってくる。私は姉さんと同じようにお花見をしようとアオイに声をかけた。


19:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:17:11.80 ID:TJReGnPWO
「ですが、しのぶ様…今年はまだ桜が咲いていません…」
「けれど、今年は柱の皆さんのお休みがこの日しか取れないの」
「ならば中止にした方が…」
「やります!絶対に!やるんです!」
「は、はい…」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER
2020/04/04(土) 14:17:51.91 ID:TJReGnPWO
 場所は去年と同じ産屋敷邸。だけど、御館様は体調が悪く参加できなかった。

「ごめんね、しのぶ…」
「御館様が謝られることでは…」

以下略 AAS



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