トップアイドルの天海春香さん
1- 20
22:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:38:44.88 ID:/ZuzgcCF0
その日から、レッスンの雰囲気が変わった。
もちろんみんなそれまで通り真剣に取り組んではいたけれど、空気がどこか穏やかになった。
それまでには誰かが失敗して曲が止まるとピリッとした空気になることも多かった。
ため息が聞こえることもあった。
けど今は、みんな笑って、「ドンマイ」なんて声をかけたりして。
以下略 AAS



23:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:42:49.86 ID:/ZuzgcCF0
それから時々、天海春香はレッスンを見に来た。
そのたびに私は不快な気持ちになった。
それを態度に出さないために余計に体力を使っているように思えて、気が滅入った。
ただやはり彼女は忙しいようで、レッスンへの参加時間も回数もあまり多くなかったことはありがたかった。
私は天海春香が来るたびに、早く帰ってくれることを願いながらレッスンを続けていた。
以下略 AAS



24:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:44:24.03 ID:/ZuzgcCF0
覚えていることもある。
私は完璧に踊れていた。
私以外のみんなも。
天海春香も含めて、一切のミスなく最後までやり通した。
それは覚えている。
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:46:03.95 ID:/ZuzgcCF0
結局、彼女を含めた全員で踊ったのはその日だけ。
けど他のみんな曰く、完璧にできていたらしい。
それは私が覚えていた通りで少し安心した。

それから数日後に、撮影の日を迎えた。
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:49:22.31 ID:/ZuzgcCF0
「おはようございまーす! 765プロの天海春香です! 今日はよろしくお願いします!」

やっぱり、というのが感想だった。
その明るい声で、一気に現場の空気が変わった。
さっきまで眉根を寄せていたスタッフさん達の表情が崩れる。
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:50:44.18 ID:/ZuzgcCF0
そうしてミュージックビデオの撮影が始まった。
カットごとに、まずはダンサーだけのシーンから。
私が映るカットもいくつか。
短いけどダンスも。

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:55:01.08 ID:/ZuzgcCF0
今日はもう、これ以上天海春香を観察しようだなんて思わない。
そんなことより、私だ。
私の実力を、ここに居る全員に見せる。
そのことだけを考えよう。

以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:57:17.13 ID:/ZuzgcCF0
私は自分自身に全神経を集中していたはずだった。
自分を見せる、ただそれだけを考えているはずだった。
目はまっすぐに前を見据えていたはずだった。
なのに、その瞬間。
まったくの無意識に私の目は斜めに動いて……。
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:58:31.07 ID:/ZuzgcCF0
跳ねるような歌。
スキップするようなダンス。
まるで小さな女の子が、大好きな友達と一緒に遊んでいるみたいな。
楽しそうに……いや、違う。
「楽しそうに」歌って踊るアイドルはたくさん居る。
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 19:59:54.90 ID:/ZuzgcCF0
……その時のこと、全部、覚えてる。
終わった今でも。
この気持ち。
私は、さっきの……。

以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2020/04/03(金) 20:06:53.87 ID:/ZuzgcCF0
「あ、あれっ? もしかして、私の勘違いだったかな?
じ、実はあんまり、楽しめてなかったー、とか……?」

それに対し、今度は私が少し慌ててしまう。
そう、私が驚いたのは、そんなことじゃなくて、彼女が私の名前を知っていたこと。
以下略 AAS



39Res/30.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice