【鬼滅の刃】もう嘘はつけない【ぎゆしの】
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2:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:37:19.38 ID:6ZY1ckmrO
「…卒業式はこの前終わったはずだが?」

 久しぶりの再開にも関わらず、無愛想に冨岡先生が言う。

「えぇ、だから今日は忘れ物を取りに来ただけですよ」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:38:17.05 ID:6ZY1ckmrO
「全く…わざわざこんな日に来なくても…カナエ先生に持って帰ってもらえば良かっただろう」

 その通りだ。反論のしようがない。けれど私は、嘘をついてでも今日冨岡先生に会わなければならないのだ。今日、冨岡先生に告白しなければならない。


4:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:39:15.58 ID:6ZY1ckmrO
「ところで先生、どうですか?キメツ学園の生徒ではなくなった私は?」
「…それは卒業式の日に散々言ったはずだが?」
「いえいえ、卒業式が終わったと言っても三月の間はここの生徒でしたから」

 そう、私はもう女子高生ではないのだ。つまり、もう告白をしても、付き合ってもなんの問題もない。だから今日、年度が変わったその日に告白をしようと決めていた。早くしないと、誰かに先を越されてしまう。こう見えて、冨岡先生は人気があるのだ。


5:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:40:07.72 ID:6ZY1ckmrO
全く、こんな無愛想な人の何がいいのだろう、無闇にライバルを増やさないでほしいと他人事のように考えていると冨岡先生が口を開いた。

「全く…教室でいいのか?」
「はい、お手数をおかけします」

以下略 AAS



6:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:41:07.80 ID:6ZY1ckmrO
『冨岡先生、冨岡先生、お客様がお越しです。至急職員室まで』

 教室に向かう廊下に放送が鳴り響く。計画に水をさされてしまった。冨岡先生は、一瞬どうしようか考えてから口を開く。

「…鍵を渡しておく。先に行って探していればいい」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:41:50.90 ID:6ZY1ckmrO
「はぁ…まさかこんなタイミングで…」

 鍵を開け、ガラリとドアを鳴らして教室に入る。つい先日まで、みんなと一緒に過ごした教室。この部屋の中が世界の全てだと思っていた教室が、知らない顔に変わっていた。もうこの部屋は私たちのものではないのだ。



8:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:42:38.06 ID:6ZY1ckmrO
「…遅いですね」

 当然探すべき忘れ物などない私は暇を持て余す。けれど、私が何もしていないことを差し引いても相当な時間がかかっている…何か嫌な予感がする。


9:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:43:27.16 ID:6ZY1ckmrO
「…見に行きますか」

 勝手知ったる学校なのをいいことに、鍵を閉め、職員室の方向へ向かう。しかし、冨岡先生は職員室に辿り着く前に見つかった。


10:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:44:12.33 ID:6ZY1ckmrO
「と、冨岡先生!ずっと…ずっと前から好きでした!つ、付き合ってください!」

 なんと、あろうことか中庭で告白をされているではないか。私は思わず見つからないように隠れてしまった。そっと相手の顔を見る。クラスは違うが、同じ学年の女の子だ。そういえば、彼女も冨岡先生が好きだと言っていた。放送で流れたお客様とは彼女のことだったのか。なんということだ、先を越されてしまった。


11:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:45:31.08 ID:6ZY1ckmrO
「…悪いが君の想いに応えることはできない」

 冨岡先生が断る。私はほっと胸を撫で下ろす。良かったまだチャンスはある。けれど、次の瞬間、彼女が信じられない言葉を放った。


12:名無しNIPPER
2020/04/01(水) 21:46:32.97 ID:6ZY1ckmrO
「は、はは…う、嘘ですよ…冨岡先生、エイプリルフールです」
「…なんだ、そうだったのか」

 ひっかかりましたねと、続ける彼女の目は全然笑えていなかった。そっちの方がよっぽど嘘だ。振られたショックをごまかしているだけではないか。けれど、私の方はその一言で告白ができなくなってしまった。こんなタイミングで告白なんてしたら、私の告白まで嘘だと思われてしまう。


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