晴海シンジュ「四月馬鹿には笑いたい」【ナナシス】
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6: ◆HQmKQahCZs[sage]
2020/04/01(水) 11:08:15.33 ID:rGjnhKth0
嘘じゃなかった。
カジカはレッスンを休み、サワラはそれに付き添っている。
そして私は一人、ナナスタに来ていた。
何度も謝ろうとした。
だけど私の口から出るのは悪口雑言ばかりで、ついにはサワラによって私はカジカから引きはがされた。
素直なカジカは他人の悪意に慣れてはいない。真っ白なカジカの心は容易く他の感情を受け入れてしまう。
実の妹から言われればそれがどれだけかなんて殊更に言うまでもない。
だから私はこれ以上何も喋らないように口をガムテープで塞ぎ、その上からマスクをした。
シンジュ「………」
支配人「シンジュ」
シンジュ「………っ」
支配人「サワラさんから聞いたよ。様子が変だって」
シンジュ「んーっ! うんーっ!」
咄嗟にまた罵詈雑言を口に出してしまいそうだったから両手で口を塞いだ。
支配人「君はいくら大人びていてもまだ子供だ。思いもよらないことに影響を受けることはあると思う」
支配人「君が今日言ったことが本心じゃないって信じてる」
シンジュ「んうーっ! うーっ!」
私は頷いた。何度も、何度も。噛みついてしまいそうなほど動く口を必死に抑えながら。
私は姉を大切に思っているし、迷惑をかけられながらも嫌いになったことなんて一度もない。
名前を書いてしまっておいたシュークリームを食べられた時だって怒りはしたが嫌いになったことなんてないというのに。
それに支配人にも、ナナスタの皆にも悪言を呈したいだなんて思ったことだってない。
支配人「やっぱりそうだよね。君は人のために強くなれる優しい子だ」
支配人「僕がそう思ってるぐらいだからサワラさんたちがわかってないわけがない」
だとしても。私はもうそれを伝える言葉を持たない。
傷つけてしまったことは元には戻らない。口にしてしまった事実は嘘にはならない。
あんなことを言うぐらいなら、私が、私が―――
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