荒木比奈「何百回目のプロポーズ」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/30(月) 23:09:53.63 ID:nJ12rVXd0
 ソファの肘掛けに顔を押し当ててぐりぐり。
 言いたいことを言う。やりたいことをやる。ようやくできるようになったそれらも、でも今はまだできるだけ。様にはならない背伸びの現実。
 もちろんそんなことは自覚していたけれど、それを実際指摘されるとどうにもこうにも恥ずかしい。むずむずするというか、なんというか。
 入れ知恵されてからこっそり憧れていたシチュエーションを叶え攻勢に出ていたはずが、冷静に見抜かれ、言葉にして指摘され、なんだかちょっと悔しくなって倒れ込んだ。
 ……まあそれはすぐ、倒れ込むその瞬間に霧散してしまったけれど。顔を伏せてからのぐりぐりは悔しさのためじゃなく愛おしさのためだけど。倒れ込む瞬間、プロデューサーが照れた顔をしているのが見えたから。
 口を付けたマグカップを見つめながら照れくさそうな顔をしていた。照れて、それに嬉しそうに緩んでにやけるのを堪えているような、そんな顔を。そういえば声もちょっと震えていたような気がする。それを思うと愛おしくなって。
 好き、に溶ける。恋しい、に蕩ける。愛おしい、に達してしまう。自分の意思では抑えておけない顔を……隠しきれずに少し漏らしてしまっていたプロデューサーとは違って、もう漏らすどころか満面に緩んでにやけてしまう顔をぐりぐり、と。

「ぶー……。……んっ、はいっ、それじゃ、プロデューサーっ!」
「うん?」
「どーぞ! 次っ! プロデューサーの番っスよ!」
「番って、何のさ」
「本番プロポーズっス! 今度はプロデューサーが恥ずかしがる番っスよ!」


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