31:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:55:40.97 ID:O0jAO63X0
不思議がって尋ねてきた男の子に、鬼は答えました。
「儂は飯も水も口に入れん。その代わり、お前が欲しい。このままお前さんが帰ってしまえば、儂はここでひとりぼっちじゃ」
「のうお前さん、儂の婿にならんか? さすればわしは見返りに、そこに見える三角池の水を真っ赤に染めて差し出そう」
「その水で染め物を作れば、きっと高く売れる。村人みんなが豊かに暮らせるだろう」
鬼がそう言うと、山の麓にある三角池がたちまち鮮やかな赤色に染まりました。
驚いた村人の一人がそこにボロ巾をくぐらせてみると、あら不思議。見違えたように綺麗な赤い布になったではありませんか。
これには村人も大喜び。男の子の両親も、息子を快く婿に送り出してくれました。
こうして男の子は鬼の夫となり、共に山へ行くことになりました。
「これでそなたとわしはずっと一緒じゃ。何があっても、わしの元を離れるでないぞ」
鬼は安心しました。これでもう、お腹も心も寂しくありません。
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