21:名無しNIPPER[saga]
2020/03/29(日) 16:48:43.76 ID:O0jAO63X0
――村はずれの丘
育「この花なんだ」
エミリー「Wow! 鮮やかな赤色の花びらと深い緑の葉……なんて素晴らしい色彩の対比でしょう。雅を感じます」
育「この花、どこにでも咲く珍しくもない品種なんだけど、美里恩村に生えているものは不思議といろんな色の花びらをつけるんだ。青っぽい花も見たことがあるよ」
エミリー「青い花ですか。確かにそれは珍しいですね」
育「拙者は二年前からこの場所の土を耕して、種を植えて世話をしてるんだ。ひなた殿から内緒で土や肥料を少しだけ分けてもらってね」
エミリー「内緒で、ですか?」
育「うん。ひなた殿には感謝してもしきれないよ。彼女の家だって、自分たちが食べる分の野菜や果実をギリギリで育ててるんだから」
エミリー「以前ひなたさんから、美里恩村の土地はあまり農業に向かないので、余所から土を買い付けたり肥料を工夫しているんだと伺いました。それでも自給自足が精一杯だと……」
育「貴重な土や肥料を分けてもらっている以上、拙者は絶対にこれを成功させたい。この丘を色とりどりの花で埋め尽くして、余所の村や町の人に景色を楽しんでもらえるくらいの名所にしたいんだ」
育「そしてここにお茶屋を建てて観光客のみなさんに召し上がってもらえたりなんかしたら、村の経済にだって良い影響をもたらせるはずだよ」
エミリー「お花を眺めながらお茶とお菓子を楽しむ……はぁ、なんて素敵なんでしょう」
育「みんなが気づいてないだけで、この花は間違いなく村の名物だ。だから村のみんなには自信を持ってほしいんだ。鬼に好き放題されている場合じゃないよ」
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