57:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/19(木) 23:58:02.20 ID:z07AMiQQO
「んー……おねーちゃーん……」
「はいはい、ここにいるわよ」
ハイボールを飲み終わって、もう一度私が作った焼酎のウーロン茶割りを飲み切って、とうとう日菜はテーブルに突っ伏した。寝言のように私を呼ぶ。それに呆れたような声で返す。
これがお酒に潰れるという状態なんだな、と思いながら、私は部屋の窓を開けた。
晩冬と初春の狭間の夜空。そこを吹き抜ける風はまだ少し冷たくて、アルコールで火照った身体にはちょうどいい。
その風を浴びながら、いつかの私へ、今の私は言葉を投げる。
「よかったわね。お酒の強さに関してなら、私は日菜に圧勝できるわよ」
それを聞いて、あの日の私はなんて言うだろうか。これを見て、未来の私はなんて言うだろうか。
考えようとして、すぐにやめる。
外の夜景から部屋の壁掛け時計に目を移す。もう間もなく、日付が変わるところだった。
「日菜、大丈夫?」
「だぁいじゅぉーぶ……」
「そう。大丈夫じゃなさそうね」
日菜の隣にまで足を運んで座り、なんとはなしにその髪を撫でる。「んへへぇ」と緩みきった笑い声が聞こえてきて、私の頬も緩む。
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